【肉の焼き方解説】フランスの肉の焼き方と種類を知って肉を美味しく食べよう
こんにちは。
沸騰石の佐野です。
フランス料理において肉の焼き方というのはとても重要なものです。
もちろん、人それぞれ好みの焼き方はありますが、フランスでは、「美味しい肉の焼き方はこうだ!」というものがあります。 今回は、フランス人が追求した肉の美味しさを、僕がフランスで働いていた経験を交えて詳しく説明します。
フランスの肉の焼き方の種類
まずは、日本の焼き方と言い換えができる以下の焼き方4つを紹介します。
- ブル(bleu/レア)
- セニャン(saignant/ミディアムレア)
- ア・ポワン(a point/ミディアム)
- ビアンキュイ(bien cuit/ウェルダン)
それぞれについて詳しく説明していくので順番に確認していきましょう。
ブル(bleu/レア)
ブルは、日本でいうところのレアです。表面は焼いてありますが中はほとんど生の状態になってます。
美味しいブルは、表面がカリカリに焼いてあって中心温度が40℃程度のものです。
薄い肉を使うと表面を焼いている最中に中に火が入ってしまうので、分厚い肉でないとブルにはできません。
最低でも2cmくらいの厚みは必要になります。
セニャン(saignant/ミディアムレア)
セニャンは、日本でいうところのミディアムレアです。ブルほどではないですが、中心部分が少し生の状態になっています。
フランス人が一番好む焼き方はおそらくセニャンだと思います。
実際、僕がパリのレストランで働いていた時に多かったのがこのセニャンです。
ア・ポワン(a point/ミディアム)
ア・ポワンは、日本でいうところのミディアムです。セニャンは少し中心に生の部分が残っていましたが、ア・ポワンは肉全体に火が入っています。
ですが、肉汁が抜けて真っ白になっているわけではなく、ほんのりピンク色をしています。
パリで働いていた時に、セニャンに次いで多いのがこのア・ポワンでした。
ビアンキュイ(bien cuit/ウェルダン)
ビアンキュイは、日本でいうところのウェルダンです。中の肉汁が抜けて、切り口が真っ白になっています。
フランス人はこの焼き方はあまりやりません。硬いし、パサついてるし、美味しくないからです。
パリで働いていたころは、ビアンキュイの注文がたまに入るのですが、ほとんどの注文が観光客からでした。
日本にはない肉の焼き方、ロゼ
ロゼというのは、主に仔羊や鴨、ジビエなどに使われる焼き方です。牛肉、豚肉には使いません。
実際ロゼはどんな状態のものなのかというと、肉全体に火は入っているけど中に血が溜まっている状態のことを言います。
こんなかんじで。
高温で肉を焼くと筋繊維がギュッと締まって血が噴き出してしまうので、中に血を溜めるにはゆっくりと低温で火を通すしかありません。
ゆっくりと火を入れた肉は、血をたっぷりと含み、とても柔らかく、美味しいです。
この焼き方を牛肉でやらないのは、牛肉は生で食べても問題がないからです。
対して、仔羊、鴨、ジビエなどは衛生上火を通す必要があります。
火を通さなければならない肉でも、生に近い状態で食べれる焼き方がこのロゼなのです。
また、豚肉の場合は、どんなにゆっくり火を通しても真っ赤に血が溜まらないので、ロゼという焼き方がありません。
おすすめはセニャンかロゼ
以上5つの肉の焼き方を紹介しましたが、おすすめは断然セニャンかロゼです。
肉は焼けば焼くほど肉汁が抜け、美味しさが失われていくので、牛肉の場合はセニャン、仔羊、鴨やジビエなどの場合はロゼで食べましょう。
豚の場合は、ア・ポワンでいいでしょう。ちょっと赤くなっていても火は通っているので安心して食べてください。
セニャン、ロゼの焼き方のやり方は?
結局中心温度が測れるようにならないと難しいんですが、やるならばオーブンを使うことをおすすめします。
- 肉は冷蔵庫から取り出して常温に戻しておきます。オーブンは100℃に予熱しておきます。
- 全体に塩を振って煙が出るほど熱した鍋で両面に焼き色を付けます。
- 全体に焼き色が付いたら、バットや皿に移し替えて(鍋だと熱すぎるので)、100℃に予熱したオーブンに入れます。
- 時々ひっくり返したりして火を通していく。(肉の厚みに応じてオーブンに入れる時間が変わります。時々鉄串を刺して中の温度を確認しましょう。自分の体温よりちょっと熱いくらいになったらいい感じです。)
- オーブンから出してアルミホイルに包んで5分ほど置く。(すぐに切ると肉汁があふれるので)
肉の脂身、筋、水分、焼き色を付ける時に鍋で焼いた時間など、様々な要素によってオーブンに入れる時間が変わってきます。中の温度を確認できないと細かい調整ができないので、頑張って数をこなして覚えてください。
目安として、2cmくらいの分厚い牛肉ならばオーブンに入れる時間は10~15分程度です。
また、仔羊、鴨を焼くときは必ず皮から焼きましょう。皮は、熱伝導率が悪いので、中への熱の伝わり方が柔らかくなります。
フランスと日本の牛肉の違い
つらつらとフランスでの肉の焼き方と種類を書きましたが、フランスと日本の肉の違いも抑えておかないといけません。セニャン、ロゼの焼き方でも述べたように、肉に含まれる脂身や水分、筋などによって火を入り方が変わるからです。
牛肉以外のものはよくわからんので、鳥や豚に関してはまた調べてみてください。
フランスの肉の特徴
フランスの肉は、日本のものと比べて脂身が少ないです。なので、肉をしっかりと焼いてしまうと、すぐパサついて食えたもんじゃありません。
そういったことも原因して、フランスでは生っぽい焼き方が好まれる食文化が根付いたのかもしれませんね。
また、食べ過ぎても胃もたれしないのもフランスの肉の特徴の一つです。
実際、僕が働いていたレストランでは、一人前500gからしかステーキの注文を受けていませんでした。
日本の肉の特徴
一方日本の肉は脂身が多いです。皆さんご存じのように霜降り肉などは脂身がかなり多いので、するっと口の中で溶けるような感覚があります。
逆に脂身が多すぎて、少し食べると胃もたれしてしまうのも日本の肉の特徴です。
そんな日本の肉は、脂身が多いので焼き過ぎてもすぐにはパサつきません。
なので、焼肉屋のように薄切りにして焼いて、脂身を少し落として食べるのが良いかもしれませんね。
焼肉屋以外に、日本特有の食べ方であるしゃぶしゃぶも、脂身を洗い流せて日本の肉に最適な食べ方だと思います。
フランスと日本、それぞれの肉の特徴をとらえて、食文化を発達させたってことですね。
まとめ
フランスでの肉の焼き方と種類を紹介しました。フランスで愛されている焼き方のセニャンとロゼのやり方は少し難しいので、家でやる自信がない方は一度レストランなどで食べてみてください。きっと考え方が変わると思います。
質問などありましたら、ツイッターとインスタグラムやってますのでそちらからお願いします。
Tverでグランメゾン東京第6話を見たんですけど、芹田がまかない作って凹んでましたね。
— 沸騰石さの (@hann_sann) 2019年11月25日
チャーハンが人数分時間内に作れただけでも十分。僕は始め、時間が大幅に遅れた上、生の鳥肉と生の米を出したことがあります。
それではこのへんで